Saturday, September 20, 2008

「難民鎖国」

clipped from www.bochao.jp

風穴広がる「難民鎖国」《国を開く 選択のとき》(09.14朝日新聞)

風穴広がる「難民鎖国」《国を開く 選択のとき》
今までは、働けないまま認定審査に2年


「日本はアジア一、民主的だと思っていた」。東京都内の飲食店で働く40代の男性は大学生だった89年、軍事政権下のミャンマー(ビルマ)を逃れて、日本にやって来た。少数民族出身で反政府運動に参加。短期ビザで日本に入り、飲食店で1日じゅう働いて、家族も持つことができた。


03年、職場に向かう途中、不法就労で摘発された。そのとき初めて、弁護士から難民認定制度を説明された。法相の特別許可で在留が認められるまで申請してから約2年の歳月がかかった。


「1年9カ月も施設に入れられ、3人の子と妻を抱えて働くことも禁じられた。娘の給食費用の口座を開こうとして断られ、だれにも信じてもらえない存在だと感じた」


国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、紛争や迫害などで国を逃れた難民は、07年末現在で約1140万人。5年ぶりに1千万人を超えた。保護を求めた米国や豪州、欧州などの先進国のうち、日本の難民認定数は07年に41人と際立って少ない。ロシアを除く主要7カ国で千人未満の国は日本だけ。だから「難民鎖国」と呼ばれる。


認定申請中の境遇も問題視されている。審査期間は平均600日で、その間の就労は原則的に禁止。NPO法人難民支援協会の石川えり事務局長は「送還されるリスクを負いながらの2年は、あまりにも長い」と指摘する。


ミャンマーなどの情勢悪化で日本への難民申請者は90年代から増え始め、今年は初めて千人を超える可能性がある。難民としては不認定でも、人道的理由で在留特別許可が出る例は増えており、07年は前年より35人多い88人。審査のスピードについても法務省は「6カ月を目指す」と明言。今年はこれまでにないペースで進んでいる。


政府は7月、他国の難民キャンプから難民を受け入れる「第三国定住」の導入を決めた。早ければ10年度にも第1陣が到着する見込みだ。「難民鎖国」の風穴が広がる。

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